ゴミバコ

本や音楽のレビューがあるかもしれません。別に通とかじゃないです。

手紙/アンジェラ・アキ

Nコン中学校の部課題曲はこの曲に匹敵する歌はできても超える歌はもう出ないのでは?と思うくらい良曲。個人的意見ですが。

この曲のすごさは長調なのに確実に泣き歌であるということ。「ひとつしかない この胸が 何度も」の部分のメロディが確実に「切なさ」を表現している。「別に?」と言われればそれまでなんだけど、僕としてはこのメロディをすごいと言わざるをえない。コードも別にマイナーじゃないし、なんで??高音でこぼれ落ちるようなメロディが涙を誘うんだろうか。

長調で泣き歌を作るのはすごく難しいと思うのです。最近の歌で「お」って思うのはミスチルの「ヒカリノアトリエ」のサビ。やはり高音で狭い範囲を行き来するとどことなく切ない感じがする。

この次の年のいきものがかりの「YELL」は短調なので、切ない泣き歌になるのは当たり前。しかもコンクールの課題曲として何回も歌う、聞かされると考えると短調はちょっと重すぎる。長調の泣き歌は涙をこらえながら笑うような凛とした切なさを感じる。

そして歌詞においてもこの歌は秀逸だと思うのです。全体的に抽象的で飾り気がない。この歌は「中学生が何度も歌う曲」なので、シンプルな方が個々の思いを入れやすく深みを増しやすい。

1番は歌詞だけを見ればまあまあ鬱々。でもこの歌は基本長調なので、ジメジメとした感じは受けない。「苦しい中で 今を生きている」というフレーズが長調で終わっていて鳥肌もんです。そして2番で「大人の僕も 傷ついて 眠れない夜はあるけれど 苦くて甘い 今を生きている」とアンサーを出す。この負→正への流れが曲調とマッチしてたまらない気持ちになります。

そしてクラップ部分。もともとピアノで作った曲なのでゴスペルみたいな雰囲気がとても合う。最後に「いつの時代も 悲しみをさけては通れないけれど」ときれいごとで終わらないのがなおよし。

アンジェラ・アキさんのアルバムは1枚レンタルしただけなのでよく聞くというわけではないのですが、この曲は合唱曲として技術的にすごいと思います。

ちなYUIファンの僕は「fight」はもちろん好きですよ。ファンだからとか無しに無難に良曲だと思いました。ただ初めて歌詞見たときは「これほんとにYUIの歌詞?」と思いました。「がんばれ」なんて単純な言葉YUI使うのか?と思ったんですが、理由やその他の歌詞を聞いて納得。深いなー。ただピアノアレンジが「手紙」を意識し過ぎて変にアップテンポだし唐突に出てくる中途半端なクラップも残念でした。YUIさんが歌うオリジナルの方が絶対いいよ。

一番最近の曲は事務所が完全に売り方を間違えているmiwaさんですかね?んー「良い歌」風にしてるけど特に「泣き」部分はないし歌詞もそこそこありきたりかなー。この方は「ヒカリへ」とか「delight」とかみたいな真面目なポップの方が売れるのでは?変にアイドル路線とか泣き歌路線よりも。

というか手紙の影響を受けすぎてNコン中学生の部は「良い歌」風にして滑ってるのが多い気が…す…。森山直太朗の「虹」みたいにガッツリ合唱曲みたいなのも出てきて欲しいのですが。そもそもNHKが作曲を依頼する作曲者にも疑問。中学生に媚び売りすぎじゃない??